2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01972
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田近 舞 (高瀬 舞) 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 局所光電場 / 局在表面プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / 単一分子分光 / 分子配向評価 / 単層カーボンナノチューブ / 光化学反応誘起 / 金属ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では表面増強ラマン散乱(SERS)ならびにこの現象の基礎である表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた単一分子レベルでの分子検出法を確立し、金属表面上に吸着している分子量を規定しin-situ観測を行うことで、分子の動的評価を可能とした。また、単一の単層カーボンナノチューブ(SWNT)を検出分子として用いることにより局在光電場による特異的な電子遷移や化学反応の誘起について検討を行った。 まず、局在光電場を有する金属構造体としてAu-Agヘテロ二量体構造を用いた。この時、検出分子として2,2'-bipyridine(22hpy)を用いた場合には両金属の表面吸着サイトをダイナミックに行き来する過程の計測に成功した。また、分子形状の異なる44bpyにおいては両金属いずれかへの表面吸着状態を反映するスペクトルとは異なる振動モードが観測され、44bpy分子の架橋構造形成が示唆された。また、検出分子をSWNTとし、Au二量体構造を用いた際には高度に異方的な分極が誘起され、通常の光では達成できない効率で共鳴励起が可能となり個々の振動モードの分離計測が可能とした。さらに光電場の局在によって光学選択則そのものが変調される可能性を見出した。この特異的な局所光電場中にて化学反応を試みた。その結果、SWNTでは図3に示すように時間経過に伴って欠陥由来する振動モードであるD-band(1300cm-1)強度が増大する様子が観測された。この現象はAu二量体構造に担持され水中のSWNTにおいて特に顕著な応答を示し、光照射時のみ構造欠陥の増大を進行させた。通常UV照射等により進行する反応が近赤外光によって誘起可能となることを示した。 以上より、局在光電場における分子の光応答として、単分子レベルでの分子認識、動的評価が可能となり、電子遷移の選択則の変調ならびにこれに伴う化学反応誘起の可能性を見出した。
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Research Products
(7 results)