2009 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波圧縮領域の安定性解析による誘発的星形成の解明
Project/Area Number |
09J01979
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩崎 一成 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 星形成 / 重力不安定性 / 衝撃波 |
Research Abstract |
超新星爆発や、HII領域、星風などによって生じた衝撃波によって、周囲のガスが圧縮され、膨張するシェル状の圧縮された構造を作る。そのシェルが自己重力不安定性により分裂、収縮し、星が形成されると考えられる。本研究では、形成される分裂片の質量を調べるために、膨張するシェルがいつ分裂するのかを多次元数値シミュレーションを用いて調べた。先行研究では、分解能が足りず、シェルの厚みが分解できていなかったが、本研究では、十分に分解した計算を行った。状態方程式は等温を仮定した。計算の結果、膨張シェルにおける重力不安定性は、今まで考えられてきたよりも早い時刻に成長し、その分裂のスケールをおよそ半分で、その成長率は、2倍から4倍にもなることが分かった。その原因は、膨張の過程で、シェルが波のように変形することによって引き起こされる。過去の研究により重力不安定性は、ガスの形状に大きく依存することが、知られている。三次元的にガスが分布している場合は、ある半径より外側からのガスは、重力が逆二乗則であることがら、内部のガスに影響しない。一方、シェルや平板状の構造めガスは、ある領域から内部のガスは外側のガスから引っ張られる。本研究によって、シェルが変形することによって、ちょうど、三次元的に分布する場合と、平板上に分布する場合の中間的な状態となり、成長率が増加した。本研究により、従来考えられていたよりも、より早く、より小さなスケールで、より大きな成長率で分裂することが明らかとなった。このことは、重力不安定性の基本的理解のみならず、誘発的星形成において観測結果と理論を比較する上で重要となる。
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Research Products
(2 results)