2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネの栄養成長期におけるjuvenile-adult相転換の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
09J01987
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 伸裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | miR156 / miR172 / juvenile-adult相転換 |
Research Abstract |
本研究ではイネの栄養成長期におけるjuvenile-adult相転換の制御機構の解明を目指している。23年度は、これまでの2年間で研究を行った、juvenile phaseが延長する変異体であるpps-1のデータをまとめてPlant CellとPlant Signaling & Behaviorに論文を投稿し、受理された。 22年度に引き続き、juvenile phaseが永続する変異体であるmori1について、解析を行った。 Phase changeの制御因子であるmiR156とmiR172の発現レベルはmori1において変化しなかった。また、また活性型ジベレリンであるGAIの量も野生型の20%以下に抑制されており、 miR156,miR172とは独立にadult phaseへの移行を促進するジベレリンの合成も、MORI1によって制御されていることが明らかになった。以上よりMORI1は2つのmiRNAとジベレリン合成を制御する、juvenile-adult phase changeのkey factorであることが示された。mori1-1におけるPIPSの発現は強く抑制されており、pps-1とmori1-1との2重変異体はmori1-1の表現型を示し、pps-1におけるMORI1の発現は野生型と同程度であった事から、MORI1はPPSの上位で機能する事が示唆された。そこでACTINプロモータ下でPPSを制御したコンストラクトをmori1-4に導入したところ、mori1-4の表現型の回復が見られなかった。これらの結果から、PPSはMORI1の下流で機能しているが、MORI1の下流にはPPS以外の要素も存在することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
juvenile-adult相転換は、イネにおいては変異体の報告もほとんどなく、その分子メカニズムは不明のままであった。本研究ではPPS,MORI1という2つのjuvenile-adult相転換を制御する遺伝子の単離を行い、これらの遺伝子がmiR156,miR172,ジベレリン合成の上流で機能していることを示した。またMORI1は相転換においてPPSの上流で、相転換の決定因子として機能していることを明らかにしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
MORI1がjuvenile-adult相転換の決定因子であることを示すために、形質転換を用いてMORI1の機能を調べる。またこの遺伝子の機能が他の植物でも保存されていることを示すため、シロイヌナズナのオーソロガスな遺伝子の変異体を用いて、juvenile-adult相転換に異常をきたすかを調べる。
|
Research Products
(4 results)