2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネの栄養成長期におけるjuvenile-adult相転換の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
09J01987
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 伸裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | juvenile-adult相転換 / miR156,miR172 / gibberellin |
Research Abstract |
高等植物の発生は異なるいくつかの生育相から成る。中でも栄養成長期から生殖成長期への移行は劇的な変化を伴い、多くの研究がなされている。しかし栄養成長期は、初期のjuvenile phaseと後期のadult phaseの2つの相にさらに分けられ、adult phaseに移行しなければ、生殖成長期へも移行しないにも関わらず、この相転換の研究はほとんどなされていない。本研究では、栄養成長期における相転換に異常をもつイネの変異体を材料にjuvenile-adult相転換の分子的なメカニズムの解明を目指している。Juvellile phaseが延長する変異体であるppsは、分子マーカーとして知られるmiR156、miR172の発現変化が遅れ、ジベレリン合成に関わる遺伝子の発現が低下し、ジベレリン量も減少していたことから、PPSはmiR156,miR172,ジベレリン合成を制御することで、adult phaseへの移行を促進していると考えられた。この結果については現在国際誌に投稿中である。次にjuvenile phaseが永続する変異体として、mori1を同定した。発現解析から、MORIはmiR156,miR172の上位で機能するが、ジベレリン合成に関しては機能していないことが示された。MOEI遺伝子は広く真核生物において保存されたタンパク質だが、その機能は未だに不明である。ジベレリン合成に異常をきたす矮稲C変異体では、miR156,miR172の発現パターンが野生型と同様であったことから、ジベレリンは、miRNAとは独立した経路でadult phaseへの促進を行っていると考えられた。
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Research Products
(1 results)