2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物―線虫間相互作用の解明に向けた植物寄生性線虫表皮上タンパク質の解析
Project/Area Number |
09J01991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新屋 良治 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / プロテオーム解析 / 分泌タンパク質 |
Research Abstract |
[研究内容] マツ樹木とマツノザイセンチュウ間の相互作用を分子レベルで明らかにするため、昨年度に引き続きマツノザイセンチュウ分泌タンパク質の網羅的同定を行った。本研究ではマツノザイセンチュウのゲノム情報を利用し、LC-MS/MS解析を行うことによりタンパク質同定の精度と感度を飛躍的に向上させることを目指した。 [結果] その結果、1360種のマツノザイセンチュウ分泌タンパク質の同定に成功した。その後、それらのタンパク質種を他種線虫と比較することによりマツノザイセンチュウに特有な複数のタンパク質群を明らかにした。マツノザイセンチュウにおいて特に多く分泌されているタンパク質群はプロテアーゼ、細胞壁分解酵素、抗酸化酵素などであることが明らかとなった。 [意義・重要性] 本研究が行われるまでには数種の分泌タンパク質種しか明らかになっておらず、その範囲内でのみマツ枯れのメカニズムは長年検討されてきた。本研究によりマツノザイセンチュウの分泌タンパク質の全貌が初めて明らかとなったことで、今後はマツ枯れに関与する重要な因子を体系的に選抜できるようになると予想される。また、本研究の成果はマツノザイセンチュウの寄生メカニズムの基礎分子情報を提供するだけでなく、マツノザイセンチュウが寄生性を獲得するに到った進化過程にも多くの示唆を与えることができる。そのために本研究で得られた成果はマツ枯れの制圧にむけた重要な基盤情報になるだけでなく、基礎生物学的にも有用な知見を提供できると考えられる。
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Research Products
(5 results)