2009 Fiscal Year Annual Research Report
携帯メール言語研究―日本語と韓国語の対照を通じて―
Project/Area Number |
09J01992
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 保裕 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 携帯メール / 携帯メール言語 / 文字論 / 言語行動 / 情報行動 / 日本語 / 韓国語 |
Research Abstract |
(1)携帯メール言語の分析を通じた文字論再考 携帯メールに現れる、規範から逸脱した表記の中でも最も多く使用される絵文字に焦点を当てて、文字論の観点から分析を行った。その前段階として日本と韓国の文字論する先行研究だけでなく、欧米のそれらも検討した。これまでの文字論では「絵」と「文字」は対立する概念として考えられることが多かったが、絵文字を形式と機能の二つの側面から分析することで、絵文字が両者の性格を備えることがわかった。それにより「絵」と「文字」を対立する概念として捉えるよりは一種の連続体として捉えるべきではないかということが示唆される。絵文字はその連続体に属し、状況に応じて「絵」としての性格が強くなったり「文字」としての性格が強くなったりする。 (2)携帯メール言語に現れる言語行動 携帯メール言語の最大の特徴と言える表記に注目して、そこに現れる言語行動の日韓対照研究を行った。形式的な側面を見ると日本が平仮名、片仮名、漢字、アルファベットの他に絵記号を利用するという多文字使用の傾向を見せるのに対して、韓国の場合はあくまでもハングルという一つの文字を中心にその文字的性質(音素文字・音節文字両方の性質を備える)を利用して携帯メールコミュニケーションを行っている。しかし、言語行動的側面では男性の女性へのコミュニケーションスタイル・シフトなど類似した側面が見られた。 (3)携帯メールを用いる情報行動 携帯メール言語に現れる言語行動の日韓対照研究を行うにあたっては、日韓で携帯メールが用いられる状況の異同について知らなければならない。そこで様々な状況下での携帯電話における音声通話と文字メッセージ(=携帯メール)の行為選択に注目して、情報行動の日韓対照研究を現在行っている。韓国人学生160名にアンケート調査を行ったが、日本でも同様の調査を継続して行う予定である。
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Research Products
(2 results)