2010 Fiscal Year Annual Research Report
携帯メール言語研究―日本語と韓国語の対照を通じて―
Project/Area Number |
09J01992
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 保裕 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 携帯メール言語 / 言語行動 / 情報行動 / 日韓対照 / 計量分析 / 配慮度 / 待遇法 |
Research Abstract |
1携帯メール言語の最大の特徴と言える脱規範的な表記に注目して,そこに現れる言語行動の日韓対照研究を行った.どれだけ規範から外れているかを表す,携帯メール言語表記数/総文字数という表記比率に注目して全体的結果を計量分析した結果,(1)日本は多文字使用の傾向が見え,日本語話者のヴィジュアル・コミュニケーションへの志向性が生かされていること,(2)韓国の方が日本よりも規範から外れた表記を用いる比率が大きいこと,(3)女性の中心的利用,(4)男性の女性のコミュニケーション・スタイルへのシフトが明らかになった.また場面変数も分析の対象とすることで,(5)表記比率は場面感の配慮度大小関係を測る指標として有効性が認められること,(6)謝罪や依頼という高配慮度場面では場面そのものへの配慮と同時に,相手のコミュニケーション・スタイルに合わせる配慮が求められることを明らかにした.また上記分析は主に送受信者の性別に注目したものであるが,現在はその他要因に注目し調査を行っており,日本で40名の学生を対象にアンケート調査を行なった.韓国でも同様の調査を継続予定である. 2携帯メール言語に現れる言語行動の日韓対照研究を行うに当たり,日韓で携帯メールが用いられる状況の異同を把握しなければならない,そこで様々な状況下で携帯電話における音声通話と文字メール(=携帯メール)の行為選択に注目して,情報行動の日韓対照研究を行った.前年度160名の韓国人を対象にアンケート調査を行ったのに続いて,109名の日本人学生にも同様の調査を行い,計量分析した.またアンケート調査のフォローアップとして日韓5名ずつの学生を対象に面接調査も行なった.その結果,行為選択は無秩序に行われるものではなく,日韓共に連絡対象への待遇度や親近度,場面重要度を考慮して行われることがわかった,ここに言語媒体選択という待遇法の新形態が見える.
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Research Products
(2 results)