2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01994
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 哲之 千葉大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 知覚的体制化 / 運動 / 視覚探索 / 共通運命の法則 / 比較認知科学 |
Research Abstract |
運動する視覚刺激の情報処理に関し、鳥類とヒトで比較を行うことにより、鳥類やヒトにおける視覚情報処理の性質は何かを考察すること、及び当該認知機能の系統発生的制約と生態的制約を理解し、ヒトの視覚情報処理を系統発生的な視点から捉え直すことの検討が目的であった。本年度は、ハトとヒトを用いて、運動刺激を用いた視覚探索課題におけるヒトとハトの比較研究を2つ実施した。運動による「面」の形成能力に関する比較研究では、ハトではヒトと違い、斉一運動に基づく面の知覚が生じないことが示された。知覚的体制化は、人間に特殊な知覚特性の一つであるのかもしれない。回転螺旋パタン刺激による拡大・縮小運動の知覚に関する比較研究では、ハトでもヒトで生じると予想される結果同様、縮小刺激探索よりも拡大刺激探索の方が容易であることが示唆された。拡大・縮小運動に関するoptic flowの知覚が、ヒト以外の動物においても重要なものである可能性が考えられる。 今年度内の研究成果として、鳥類の視知覚研究に関する英語論文を3つ発表した(Cognition誌、Animal Cognition誌、Journal of Comparative Psychology誌)。また、Journal of Comparative Psychology誌に投稿した論文は、現在修正中で、来年度内には受理される予定である。国内8件・国外6件の学会等における発表をおこない、そのうちの一つが、2010年度日本動物心理学会優秀発表奨励賞を受賞した。さらに、錯視研究に大きな功績を残した研究者に対して贈られる、今井賞(「錯視の館」賞)を受賞した。現在は、これまでに実施した研究を数本の論文にまとめている。
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Research Products
(18 results)