Research Abstract |
重要な省エネ技術である次世代型の高性能ヒートポンプ空調機用熱交換器として,冷媒の微細流路を用いた熱交換器の開発が行われている.本研究では,内径1mm程度の微細管内を冷媒が流れる際の熱伝達と圧力損失の特性に関して,実験を中心とした調査を行っており,平成21年度に以下の成果を得た. 1,微細管内下降流の沸騰熱伝達と圧力損失に関する実験結果をまとめた論文をそれぞれ発表し,矩形および三角形の微細流路が円形流路に対して優れていることと,これらの特性は従来の整理式では十分に予測できないことを示した.2,矩形および三角形微細管内上昇流の沸騰熱伝達と圧力損失に関する実験を行い,非円形流路の熱伝達率は,特に流量や熱流束が小さい領域で円管に対して良好で,この要因は表面張力の効果による薄液膜の形成である可能性が高いことを示した.3,実験結果をもとに,熱交換器のコンパクト化に関する検討を行い,微細流路を用いた熱交換器は,従来の大径管を用いた場合に比べ,同程度の圧力損失を保って,コンパクト化が達成できることを示した.4,微細管内の沸騰熱伝達の特性は,熱流束と気相質量速度によって,3つの伝熱様式(熱伝導液膜蒸発,強制対流,核沸騰)に分類できることを示した.また,矩形管や三角形管では,円管に比べて,熱伝導液膜蒸発の寄与が強い領域が広いことを明らかにした.5,微細円管内の熱伝達と圧力損失の特性を,流動様相の点から明らかにするために,高速度カメラとガラス円管を用いて流動様相の観察を行い,既に得ている沸騰熱伝達と圧力損失の特性について,観察結果をもとに検討を加えた.1~4については公表済みであり,5については平成22年度に公表予定である. 以上のように,微細管内の沸騰熱伝達と圧力損失に関して,大部分の特性が明らかになった.また,上昇・下降流ともに,矩形管や三角形管の非円形流路が有利であることを示した.
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