2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオイメージング技術を用いた原形質連絡・細胞分化・細胞周期の動的関係の解析
Project/Area Number |
09J02026
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北川 宗典 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 細胞間情報伝達 / ヒメツリガネゴケ / 原形質連絡 / 発生 / アブシシン酸 / 光変換型蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
私は植物の発生に重要な細胞の位置情報伝達経路の1つ、原形質連絡に着目している。原形質連絡は細胞壁に存在するトンネル状の構造体であり、様々なシグナル分子の細胞間移動を仲介している。原形質連絡が自身の開口度を制御してシグナル分子の細胞間移動を調節し、結果的に植物の発生が制御される。よって原形質連絡制御の仕組みの理解は植物の発生を理解する上で重要であると考えられる。しかし、原形質連絡制御に関してはこれまで組織レベルでの報告が多く、増殖・分化といった個々の細胞の状態変化にどのように関わっているのか、またその分子メカニズムについてはほとんどわかっていない。そこで私はヒメッリガネゴケの原糸体と呼ばれる、細胞が一列に並んだ糸状の組織を用いて細胞レベルでの原形質連絡制御の解析を試みている。 (1)まず光刺激によって蛍光色が変化するDendra2と呼ばれる蛍光タンパク質を構成的に発現させたヒメツリガネゴケ形質転換体を用い、原糸体におけるDendra2の細胞間移動を顕微鏡下で経時観察できる実験系を確立した。これによって従来よりも詳細な解析が可能となり細胞の動的な状態変化に応じた原形質連絡制御のダイナミクスをモニターすることができるようになった。これをさらに応用することで細胞周期レベルなどより詳細な解析が可能になると考えられる。 (2)次に私は1.の実験系を用い、人為的に細胞の状態を変化させたときの原形質連絡制御の変化を解析した。植物において様々な環境ストレス応答に重要であると考えられているアブシシン酸(ABA)を投与することで原糸体細胞の性質を変化させたところ、ABA投与から数時間でDendra2の細胞間移動が減少した。ABA応答によって急速に細胞の連絡性が減少するという知見はほとんどなく非常に興味深い。この現象を足がかりにその生物学的意義、原形質連絡制御の分子メカニズムの解明を目指す。
|
Research Products
(1 results)