2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオイメージング技術を用いた原形質連絡・細胞分化・細胞周期の動的関係の解析
Project/Area Number |
09J02026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北川 宗典 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原形質連絡 / ヒメツリガネゴケ / 細胞間情報伝達 / 発生 / 環境応答 / アブシジン酸 / イメージング / タイムラプス |
Research Abstract |
植物細胞は細胞間に原形質連絡と呼ばれるトンネル状の構造体を持ち、これを介して様々な分子のやりとりを行っている。原形質連絡は植物の発生や環境に応じて動的に制御されていることが知られており、植物の形態形成や環境応答において重要な役割を果たしていると考えられている。私はこの原形質連絡に着目し、これまでに体制が単純で個々の細胞を観察することに適したヒメツリガネゴケの原糸体と呼ばれる組織を用い、光変換型蛍光タンパク質Dendra2の利用によって任意の細胞からの高分子の細胞間移動を観察できる実験系を確立した。 本年度はDendra2の細胞間移動に関して数学的モデルを作成し、細胞の各隔壁におけるDendra2の拡散定数を算出できる解析方法を考案した。この解析からDendra2の細胞間移動の速度が原糸体の基部領域の細胞で速く、逆に頂端細胞ではDendra2の移動がほとんど見られないことがわかった。この結果はヒメツリガネゴケ原糸体において原形質連絡が細胞の位置に応じて制御されている可能性を示唆している。 またこれまでに植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)の処理によって原糸体におけるDendra2の細胞間移動速度が減少することを示しており、本年度はこの現象の分子メカニズムを明らかにしようとABA情報伝達の制御因子であるPpABI1とPpABI3に着目して解析を行った。PpABI3の欠損変異体においてDendra2の細胞間移動速度は野生型と同様にABA依存的に減少した。一方でPpABI1の過剰発現変異体ではABA依存的なDendra2の細胞間移動速度の減少の程度が僅かではあるが小さくなった。これらの結果から、ABAと原形質連絡制御を繋ぐ1つの経路としてPpABI1を介するシグナル伝達系に着目し、今後さらなる解析を行っていこうと考えている。
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Research Products
(2 results)