2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己集合性ポルフィリンとフラーレンを用いるπ複合体の構築と機能化
Project/Area Number |
09J02054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
信國 浩文 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光励起状態 / 自己集合 / ポルフィリン / フラーレン |
Research Abstract |
これまで本研究員は、ピリジル基を導入した環状ポルフィリン二量体のニッケル錯体(Ni_2-CPD_<py>,)およびフリーベース体(H_4-CPD_<py>)とフラーレンC_<60>のπ複合体について、原子レベルでの超分子構造および光誘起電子移動ダイナミクスを報告した。さらに、C_<60>の規則的な配列に沿って比較的高い電荷移動度を示すことを明らかにした。当該年度は、これらのπ複合体の光電変換能について調べた。光電変換能を調べるためのデバイスとして、π複合体の溶液を貧溶媒で希釈してナノクラスターを形成させ、電気泳動によって透明電極上に修飾したものを用いた。その結果、当てる光の波長依存性のエネルギー変換効率IPCE値はNi_2-CPD_<py>の場合4%、H_4-CPD_<py>の場合17%であった。このような違いは、H_4-CPD_<py>とC_<60>のπ複合体の高次元に組織化されたクラスターの形成と電荷分離状態の安定性によるものであると考えられる。また、Ni_2-CPD_<py>についてC_<70>の包接挙動についても調べた。溶液中における包接は、紫外可視吸収スペクトル、ESI-MS、^<13>C NMRによって明らかにした。また、X線結晶構造解析によって結晶中における包接も確認した。興味深いことに、結晶中での包接において、ラグビーボール型の形をしたC_<70>がポルフィリンに対して縦向きに包接されたものと、横向きに包接されたものの二種類が存在することが確認された。 このため当該年度は、環状ポルフィリン二量体とC_<60>とのπ複合体が光電変換能を有することを明らかにした。また、電子ドナーである環状ポルフィリン二量体に対して、アクセプターとしてフラーレンC_<70>を用いることが可能であることを示した。
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Research Products
(3 results)