2010 Fiscal Year Annual Research Report
行列模型による非摂動的解析に基づくAdS/CFT対応及びM理論の研究
Project/Area Number |
09J02062
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 貴昭 独立行政法人理化学研究所, 橋本数理物理学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超弦理論 / ゲージ/重力対応 / ホログラフィックQCD |
Research Abstract |
酒井杉本模型をクォーク質量も取り込んだ定式化で成功させることは挑戦的な課題である。この模型はカイラル対称性との相性がよく、素朴にはクォーク質量がゼロのQCDの重力双対である。しかし、現実のQCDを意識した場合にはクォーク質量がある場合も扱えることが望まれる。とくにストレンジクォークはQCDで質量がゼロでないとして扱われるべきで注目に値する。ここを調べるにはメソンではなくバリオンから始める効果的であると考えられ、このような動機から、私は酒井杉本模型でストレンジネスを含むバリオンの研究に取り組んだ。論文「Toward Bound-State Approach to Strangeness in Holographic QCD」では束縛状態方法という手法を酒井杉本模型において考察した。この方法ではストレンジクォークは十分重いとみなし、SU(3)フレーバー対称性を捨ててu, dのみを含むバリオンとKメソンとの束縛状態としてハイペロンを実現する。これは元々Skyrme模型で考案された方法で、そこではなかなかうまく行っている。しかしながら、今回の結果ではSkyrme模型と状況が異なり、酒井杉本模型では束縛しにくいという結果が得られた。素朴な解釈としては束縛状態方法でメソンとバリオンとを並列に考える際にこれら二つの模型は似て非なるものであり、とくにSkyrmionと酒井杉本模型でのインスタントン的バリオンとの差異が影響していると考えられる。その一方で、今回の模型で自然に実現される有効的なKメソン質量について、バリオンの中心に近い所で減少するという非自明な振る舞いが得られた。
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Research Products
(7 results)