2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西中 崇博 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 場の量子論 / gauge / 重力対応 / ブラックホール |
Research Abstract |
本年度の私の研究における主な成果は、低次元gauge/重力対応の応用に関する結果である。具体的には、parityを破った2次元場の理論の繰り込み群のflowを、3次元重力理論から初めて導出したというものである。これまでの先行研究では3次元側でpure gravityを考えていたために、その双対な2次元場の理論についてもparityを保ったものしか得られずにいた。そこで我々は3次元重力にparityを破る重力チャーンサイモン項という相互作用項を導入した理論(Topologically Massive Gravity)を考えることによって、parityの破れた2次元場の理論の繰り込み群のflowをホログラフィックに導出した。またその重要な証拠として、left-moverとright-moverで異なったc関数を重力側から構成することに成功し、それら2つのc関数の差は繰り込み群で変化しないことを示した。これは2次元場の理論の一般論から期待されるc関数の性質と一致している。 2次元場の理論と3次元重力理論の間の双対性に関するこの結果は、低次元gauge/重力対応のさらなる発展に貢献するものと期待される。またこの結果の蘭理論的立場からの理解.応用についても現在研究中である。というのも、Topologically Massive GravityはM理論に埋め込めることが知られているからである。このようなgauge/重力対応における新たな進展から、M理論の諸性質に関する来知の情報を得ることは、交付申請書に記した位相的M理論の構築という目標へ向けた重要な成果となるだろう。
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