2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西中 崇博 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 場の量子論 / ブラックホール / 超弦理論 |
Research Abstract |
本年度の私の研究は主に低次元のgauge/重力対応に関するものと、BPS状態の数え上げに関するものである。まずgauge/重力対応に関しては、2次元の非相対論的な共形場理論に双対な重力理論を考察し、そのひとつの具体例を得た。特に相対論的な理論からの極限で得られるような非相対論的共形場理論について、その重力双対を考案できたことは意義深い。我々のこの結果は、非相対論的なgauge/重力対応の研究において新たな方向性を提示するものとなるだろう。 次にBPS状態の数え上げに閲しては、conifoldにおけるBPSなD4-D2-D0束縛状態の壁越え現象を考察し、これまで知られていなかった一般的なBPS状態のindexを計算した。ここでD4-D2-D0束縛状態とは、10次元で定義される超弦理論において6次元部分に巻き付いたD4,D2,D0-braneの束縛状態を意味する乙これらは6次元空間では広がりを持つが、残りの4次元時空においては点粒子と見なされる。私は共同研究者とともに、このようなD4-D2-D0束縛状態のBPS indexのパラメータ依存性を調べた。その結果はこれまで知られていたD4-brane上の場の理論の性質と無矛盾であるばかりか、topologyの異なる場の理論の間の非自明な関係を明らかにするものである。またその結果を再現するような統計模型についても考案した。さらに私はD4-braneが2枚存在する場合にも同様の解析を行い、D4-braneが1牧の場合との類似点と相違点とを調べた。我々のこれらの結果は、壁越え公式がtopology-changeを含むようなプロセスにおいても適用可能であることを示唆している。 以上の成果は超弦理論やその背後に期待されるM理論の振る舞いと密接に関わっており、交付申請書に目標として記した位相的M理論の構築につながる大きな成果である。
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