2011 Fiscal Year Annual Research Report
感覚統合の神経基盤と応用モデル : 心理・生物・工学的アプローチによる多角的検討
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09J02075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金山 範明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視触覚統合 / 脳波 / 時間周波数解析 / 独立成分分析 |
Research Abstract |
本年度は,体性感覚の統合に関する実験に関して,乳幼児を対象とした実験を行った。最終年度において予定していた,成人以外の対象者における実験を行うことができたことは順調に計画を遂行していることがうかがえる。申請者の計画に示された「言語の使えない対象に対する脳波技術の工学応用」からの観点で行っている研究であり,研究室にとっても有益な研究であった。また予定にはなかったものの,発達との関連を探るための検討として,半年にわたり縦断的に実験を行った。 本年度はこうした中で得られた脳活動の解析技術に関して,書籍の出版を計画し,編集を務めている。実際に多くの研究者から具体的な解析方法の説明がほしいという要望を受けたため,著作の執筆を開始したものである。数名の共同研究者と分担執筆で行い,現在出版を待っている状況である。既にほとんどの部分が完成しており,残りの原稿が集まり次第出版する予定である。これから研究を行おうとする若手研究者たちが参照できる内容になっており,教育的な観点からも精力的に活動してきたといえるだろう。 さらに,日本心理学会においてワークショップを行う機会を得た。これにおいて,今後の解析法の洗練に重要な示唆を得,現在方法の改変を行っている。また予定していた海外研究室への出張も果たし,様々な研究室で研究のストラテジーを学ぶ上,講演を行ったり,共同研究を行うなど活動した。この海外との共同研究は,今後も継続的に行っていくものであり,今後の国際的な研究活動においてきわめて重要な機会であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画された実験はすべて終え,所属研究室の特性を生かした研究を追加して行うことができた。この意味では計画以上の進展を見たといえるが,その分最終的な結果のまとめが途中段階である。今後この結果をまとめて成果として報告できる形にする作業が残されているため,区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
幸いにも今回の研究の継続的なテーマで,4月から海外特別研究員として採用されているため,上記残された結果のまとめに関しては継続して行うことができる。また訪問先研究室は本領域では世界的に優れたレベルの研究を行っている研究室であり,さらに発展的な研究推進が望める。具体的には基本的な検討方針を変えずに,さまざまな可能性を検討する実験を行っていくことで,既存のモデルの洗練を図っていく。それとともに,工学的な実装に関しても実現する。
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Research Products
(8 results)