2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍の制御に関わる新規標的分子の特定と新たな抗癌療法の開発
Project/Area Number |
09J02089
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安河内 篤 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カテプシンE / 癌 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究では、エンドリソソーム性アスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンEと抗癌剤との併用により為害性が少なく、かつ細胞種に限定されない増殖抑制効率の高い抗癌療法の検討を行った。 In vitroにおける解析では、これまでの報告でカテプシンE誘導性アポトーシスに比較的感受性の低い癌細胞株に対して併用投与実験を行った。併用する抗癌剤としては従来から用いられている抗癌剤(ドキソルビシン)を使用した。また、そのメカニズムについて、TRAILと各種TRAILレセプターの発現量およびその下流にあるアポトーシスシグナル伝達に関与する分子群の動態をタンパクレベル及びmRNAレベルにおいて、ウェスタンブロット法およびリアルタイムRT-PCR法等を用いて解析した。その結果、それぞれを単独投与させた場合に比べ、両剤を併用投与することによって癌細胞の増殖を相乗的に抑制することが明らかとなった。さらにその腫瘍増殖抑制効果は抗癌剤によってTRAIL誘導性アポトーシスに関与する分子であるc-FLIPの発現減少が誘導された結果もたらされたものであることが示唆された。 In vivoにおける解析では、ヌードマウスに前述の癌細胞を移植し、カテプシンEと抗癌剤の単独投与実験および併用投与実験を行った。その結果、それぞれの単独投与に比べて両剤の併用投与時に明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した。 これらのことからカテプシンEと抗癌剤を併用することで、相乗的な腫瘍抑制効果が発揮されることが示唆された。今後は、カテプシンEと抗癌剤との組み合わせの探索や他の癌細胞株に対してもカテプシンE誘導性アポトーシス感受性と関わる分子について更なる解析を行っている。また、in vivoにおけるカテプシンEと抗癌剤との併用効果のメカニズムについても解析を行う予定である。
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