2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚性幹(ES)細胞における未分化維持関連因子DPPA4の機能解析
Project/Area Number |
09J02104
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
正木 久晴 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ES細胞 / クロマチン / iPS細胞 |
Research Abstract |
ES細胞は未分化状態のまま増殖でき、生体の細胞全てに分化できることから、再生医療への応用が期待されている。しかしながら、ES細胞の重要な性質である未分化維持機構には未だ不明な部分が多い。一因として、機能未知因子が多数発現していることが挙げられる。そこで私は、未知因子であるDPPA4の解析を行っている。以前に私はDPPA4が転写活性クロマチンに局在し、マウスES細胞の未分化維持に重要であることを発表した。また、昨年度までに、マウスES細胞においてDPPA4はリンカーヒストンH1と非常に近い可動性を持つこと、DNAとコアヒストンH3それぞれと直接結合すること、in vitroにおいてクロマチン構造を変化させることを明らかにした。以上の結果から、DPPA4はH1と同様にマウスES細胞においてクロマチン構造の調節に関与している可能性が示された。今年度は、ヒトでもDPPA4が同様の役割を果たしているか調べるため、ヒトiPS細胞を用いて同様の解析を行った。まず、DPPA4のヒトiPS細胞における局在を免疫染色により調べると核には局在していたが、マウスと比べてDPPA4は低塩濃度で可溶化し、クロマチンとの結合が弱いことが示唆された。さらに、FRAP解析によりヒトiPS細胞におけるDPPA4の可動性を調べた結果、マウスES細胞と比べてDPPA4、H1共に蛍光の回復が早く、可動性が高いことが解った。また、in vitroで再構成したクロマチンにヒトDPPA4を加えると、マウスDPPA4を加えた場合と同様にMNaseに対する抵抗性が増強されたことから、ヒトDPPA4もクロマチン構造を変化させる機能を持つことが示唆された。以上の結果から、ヒトDPPA4もクロマチン構造調節に関与していることが示唆された。また、マウスES細胞とヒトiPS細胞のクロマチン構造には違いがある可能性も示された。
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Research Products
(2 results)