2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野澤 佳世 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / 遺伝暗号 / 翻訳 / tRNA / クロマチン / 転写 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
終止コドンのリコーディングを担うPylRSとtRNA^<Pyl>のプロジェクトでは、今年度第5回ロレアルユネスコ女性研究者奨励賞を受賞し、その研究をさらに掘り下げている。PylRSを人工タンパク質合成技術へ応用するために、そのN端のアミノ酸転移調節ドメイン(PylRSn)の構造解析に取り組んだ。PylRSn単独に加え、PylRSnをPylRSの触媒ドメイン(PylRSc)と共発現させるコンストラクトやPylRSnとPylRScを様々な長さのリンカーでつないだコンストラクトを作成し、発現条件を検討した。加えて、東海大学北條教授との共同研究にてPylRSを利用して糖タンパク質を原核生物で合成する研究も進めている。現在までに均一な糖鎖修飾を受けたペプチドを固相法で合成する系を立ち上げるとともに、DhPylRSとDhtRNA^<Pyl>遺伝子で形質転換した大腸菌を作成し、終止コドンにアミノ酸を導入できるin vivoの系を作りあげた。クロマチンリモデリング機構のプロジェクトでは、大腸菌でのタンパク質の共発現や昆虫細胞の発現系、遺伝子の全合成を駆使することでBAF60aならびにこれまで困難とされてきたFos-Jun複合体全長の大量発現に成功した。Fos-Jun複合体に関してはアルギニンによる可溶化やグアニジン塩酸を用いたrefolding処理、ターゲットDNAフラグメントの添加により可溶化効率をさらに上げる試みを行っている。BAF60aに関しては、昆虫細胞でも発現が確認され、大腸菌で発現させた種々のホモログと共に精製・結晶化を進めている。加えて、上記PylRSのプロジェクトの延長線上として、現在真核生物特有の翻訳とカップルしたtRNAの核外輸送メカニズムの構造基盤解明にも取り組んでいる。成熟したアミノアシルtRNAを翻訳系に送る輸送体Cexlpについて限定分解、相同性解析、二次構造予測を指標に数十種類のコンストラクトを調製し、複数種のホモログに関しても結晶化を試みた。その結果Cexlpのヒトホモログ全長に関して予備的な結晶が得られ、Cexlp変異体に関しては2.3Åという高分解能で回折データ収集に成功し、その構造解明目前のところまできている。
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Research Products
(3 results)