Research Abstract |
申請者は,NMIの特性を活かしたβ-ケトエステルの立体補完的エノールトシル化と立体保持の各種カップリング反応を用いる三置換(β,β-二置換)α,β-不飽和エステルの立体補完的合成法を報告した(Org.Lett.2008,10,2131.selected as SYNFACTS).この展開として,種々のジカルボニル化合物のエノールトシル化・ホスホリル化とカップリング反応による多種多様な高立体補完的三置換,四置換α,β-不飽和エステル合成を行った.すなわち,α-ホルミルエステル基質およびα-置換β-ケトエステルへ適用した. まず,TiCl_4-Et_3Nを用いるα-ホルミルエステルの効率的合成法を確立した.エステルのα-位のホルミル化は,従来堅牢な方法が無く,この一炭素増炭反応もそれ自身有用である.このα-ホルミルエステルに対して,同様の手法を用い,エノールトシル化,鈴木-宮浦カップリングを行うことで三置換(α,β-二置換)(E)-,(Z)-α,β-不飽和エステルの立体補完的合成法を確立した. さらにα-置換β-ケトエステルを用いる四置換(α,β,β-三置換)(E)-,(Z)-α,β-不飽和エステルの合成法を開発した.すなわち,(PhO)_2POClとNMIにより形成されるホスホニウムアンモニウム塩中間体を鍵とし,(PhO)_2POCl-NMI-^tBuOK-18-Crown-6を用いることで(E)-選択的に,(PhO)_2POCl-NMI-^tBuOLiを用いることで,(Z)-選択的にエノールホスファートを合成できた.得られたエノールホスファートは,鈴木-宮浦カップリングのパートナーとして適用可能で,従来法では得難い四置換(E)-,(Z)-α,β-不飽和エステルを立体補完的合成に成功した.
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