2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟質粒子と硬質粒子を複合析出させたハイブリッド鋼の創製
Project/Area Number |
09J02138
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 真宏 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 鉄鋼材料 / 機械的性質 / 引張特性 / 加工硬化 / 析出強化 |
Research Abstract |
前年度までに、軟質Cu粒子と硬質炭化物粒子を複合分散させたモデル合金を作製し、ハイブリッド化の有効性を証明することができ、実際に汎用の共析鋼(Fe-0.8%C)にCuを添加した材料の創製に成功した。本年度では、ハイブリッド鋼の強化理論の確立を目的とした。ハイブリッド鋼の強化理論の確立のためには、それぞれの粒子が単独で存在する材料での強化理論の把握が必要である。降伏強度に関しては、過去に多くの検討がなされており、加工硬化に関しても、硬質粒子が分散した材料においては多くの報告があるが、軟質粒子が分散した材料の加工硬化理論は十分な検討がなされていなかった。そこで、本研究では、まず軟質粒子分散鋼の加工硬化理論の確立を行うため、様々な分散状態の軟質Cu粒子分散フェライト鋼の引張変形挙動および転位密度変化を系統的に調査した。その結果、従来の硬質粒子で適用されている加工硬化理論に対して、粒子自身が塑性変形することを考慮することで、軟質粒子が分散した材料の加工硬化を定量的に評価することができることを明らかにした。この結果を踏まえ、次いで、フェライト基地中に硬質VC粒子と軟質Cu粒子を複合析出させたハイブリッド鋼を創製し、引張試験を行うことで、ハイブリッド鋼の強化機構を検討した。その結果、降伏強度については、両粒子による強化量の加算では説明できず、各粒子の分散状態を総合的に評価することが必要であることがわかった。また、加工硬化については、単独状態での加工硬化理論から求められる転位密度を加算することで定量化が可能であることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)