2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02142
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 陽子 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス近代文学 / フランス古典主義文学 / 間テクスト性 / 文体論的分析 / 国際情報交換 / フランス / 生成過程 / 受容 |
Research Abstract |
平成21年度から、「プルーストの作品における間テクスト性」について研究を進めている。プルースト作品と他の作家の作品との比較をすることで、プルースト作品の構成や手法の特異性を明らかにしていくことを目的としている。今年度は本研究の基礎となる1テクストの文体論的分析、2プルーストが読んでいた可能性のある過去から同時代にかけての文学批評と文学先品の通時的調査、3小説の生成過程調査のうち、特に2と3にとりかかった。平成21年度の科学研究費補助金による海外出張では、ソルボンヌ・パリ第四大学招聘研究員として研究を進めたが、派遣先大学の図書館やフランス国立図書館での資料調査によって、データを蓄積することに重点を置いた。通時的文献購読と検証を重ね、新たなデータに基づきプルーストが読んでいた可能性のある文芸批評、文学作品の特定作業をおこなった。これらの批評と作品はプルーストが他の作家の作品を小説に取り込む手法に強い影響を与えているという点で非常に重要であり、その特定はプルースト作品読解の新たな可能性を示す鍵として貴重な功績となるものである。平成21年7月にはロータリー財団主催の講演会で研究成果を公表しながら、プルーストについて地域のロータリー財団のメンバーと一般の聴衆に、分かりやすく解説し、極めて高い評価を得た。難解な作家として敬遠されがちなプルーストを地域の人たちが触れてきたフランス文化の一環として紹介することができた。講演の後、質疑応答において活発な議論が繰り広げられた。沢山の質問があり、この講演を糸口としてプルーストに興味を持つ聴衆も多かった。
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Research Products
(2 results)