2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
脇田 茂 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微惑星 / 熱進化 |
Research Abstract |
微惑星は、惑星の前段階であり、太陽系初期に多数存在したと考えられている小天体である。その微惑星の形成・進化過程の研究を行うことは、惑星形成を考える上で非常に重要な研究である。また、微惑星の一部だと考えられている小惑星から飛来した隕石の研究とも密接に関係してくる。過去の微惑星の熱進化の研究では、パラメーター範囲が狭いという問題点があったが、できるだけ多くのパラメーターをとった昨年度の研究でその点を克服した。本年度は昨年度の研究を元に、隕石の母天体を探ることを目的に研究を行った。その中でも過去に十分な研究が行われていないCV隕石(始原隕石)に注目した。これまでの研究から、CV隕石は低温(350K)でできた鉱物から比較的高温(1100K)を経験した鉱物まで幅広い温度を経験したことがわかっている。これらの隕石が一つの母天体で形成されるにはどのような条件が必要かを数値計算で探った。 岩石と氷からなる微惑星をCV隕石の母天体だと考え、主な熱源はこれまでの研究と同様に短寿命放射性元素(26Al)の壊変熱とした。岩石に含まれる26Alの壊変熱によって氷が解け、さらに温度が上昇し微惑星内部の圧力よりも飽和水蒸気が上回ると、水が水蒸気になることも考慮した。氷・岩石質量比が大きい場合には、氷が解けた後に岩石が沈殿しコアが形成されるというコア形成モデルを仮定した。微惑星が形成当初に持っていた熱源の量などといったパラメーターを幅広く取った数値計算の結果から、コア形成を仮定すると氷・岩石質量比などのパラメーターに関わらず、初期の熱源の量が十分でないと高温に達することはできないことがわかった。これは、CV隕石の母天体が太陽系形成初期に形成されたことを示唆するもので、その形成時期は他の始原隕石よりも早いことがわかった。以上から、今年度の研究は未解明である小惑星の起源に強い制約を与えることができたいえる。
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Research Products
(1 results)