2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
脇田 茂 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 微惑星 / 熱進化 |
Research Abstract |
微惑星は、惑星の前段階であり、太陽系初期に多数存在したと考えられている小天体である。その微惑星の形成・進化過程の研究を行うことは、惑星形成を考える上で非常に重要な研究である。これまでに行われてきた微惑星の熱進化の研究では、短寿命放射性元素である26Alの壊変熱を主な熱源とし、隕石の経験温度に合わせた隕石母天体のサイズや熱源の量が採られてきた。しかし、そのパラメーター範囲は狭く、サイズや熱源の量が異なる微惑星の熱進化には適応できない、という問題点がある。そこで、本研究においては、できるだけ多くのパラメーターをとった研究を行うことでその点を克服し、隕石母天体にとどまらず初期太陽系に存在した様々な微惑星の熱進化の解明を目指した。 氷と岩石から構成されていると考えられる『氷微惑星』に注目し、熱進化の数値計算を行った。太陽系の元素存在度を持つ氷微惑星の場合、氷/岩石質量比が1.7と氷の方が多いため、氷微惑星の形成当初には氷に岩石の微粒子が含まれている状態となる。主な熱源は先行研究と同様に26Alの壊変熱であるとした。岩石に含まれる26Alの壊変熱によって氷微惑星の温度が上昇し、氷の融点に達した時点で氷が融けて水ができる。その後、氷が完全に融け切るまでは、氷・水・岩石が共存する層ができ、氷が完全に融けた時点で岩石が沈殿し、岩石コアと水コアが形成される、というコア形成モデルを仮定した。さらに、水の存在による化学反応として水質変質・脱水反応を考え、その反応熱・鉱物進化も取り入れた。 氷微惑星のサイズ、氷微惑星が形成当初に持っていた熱源の量などといったパラメーターを幅広くとった数値計算の結果により、熱源の量が氷の融解と化学反応の発生の可否とその時期を決定づけていることが示された。以上から、今年度の研究は、これまであまり調べてこられなかった氷微惑星に関する研究の先駆けとなるものであるといえる。
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Research Products
(1 results)