2010 Fiscal Year Annual Research Report
グループディスカッションと学びの可視化による教職志望学生の授業観察力の育成
Project/Area Number |
09J02146
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三島 知剛 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 授業観察力 / 教職志望学生 / モデリング / コーチング |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の研究結果から,授業観察力の向上に効果が見られた「モデリング」の側面に着目し,モデリングをさらに効果的なものにするためにモデリング内容に解説を加えた「コーチング」の側面を介入法として取り入れ,実験を行った。具体的には,2回の実験を行い,実験協力者にそれぞれ授業ビデオを視聴してもらい,気づきの記述を分析する手法を用い,1回目の授業ビデオ視聴後に,「モデリング」及び「コーチング」を行う群,「モデリング」のみ行う群,何も行わない統制群の3群を設定し,教職志望学生(実習経験の無い2年生及び実習経験のある3年生)を対象に実験を行った。そして,2回目の実験において視聴した授業ビデオに対する気づきの記述に,本研究で授業観察力の指標とした「問題指摘数」「代案生起数」がどれだけ見られるかを群ごとに比較検討した。その結果,(1)「児童と学習内容との関わりを深めるための教師の働きかけ」に関する問題指摘数の向上には,2年生においては「モデリング」「コーチング」の両方を行うことが有効であるが,3年生においては「モデリング」のみ行うことが有効であること,(2)「基本的な教師の指導技術」に関する問題指摘数の向上には,実習経験の有無に関わらず,介入を行うことが有効であること,(3)「児童と学習内容との関わりを深めるための教師の働きかけ」に関する代案生起数の向上には,3年生において「モデリング」のみを行うことが有効であること,の3点が主に示唆された。本研究の結果は,授業観察力の育成法として教職志望学生の実習経験の有無に合わせた介入法を提言できたことから意義深いと考えられ,また昨年度は結果の得られなかった代案生起の側面にも部分的ではあるが結果が見出された点で昨年度の研究を発展させていると言える。
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