2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02147
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
清水 健一 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホップ代数 / モノイダル圏 / Frobenius-Schur indicator |
Research Abstract |
ホップ代数の表現のなす圏は自然にモノイダル圏となる。一方で,モノイダル圏の概念は低次元トポロジーや作用素環論,数理物理学と関連して様々な研究がなされてきた。本研究の目的は,ホップ代数の表現論をテンソル圏の理論のひとつのインスタンスと捉え,それを"圏(カテゴリー)化"するとともに,他の様々な分野への応用を目指すというものであった。さて,2つのホップ代数が与えられたとする。それらの表現のなす圏がテンソル圏として同値であるとき,それらはモノイダル森田同値であるということにする。平成21年度は、有限次元ホップ代数に対するモノイダル森田同値のもとでの不変量(モノイダル森田不変量)に関して研究し,以下のような進展が得られた。 1.有限次元ホップ代数に対する新しいモノイダル森田不変量の族を構成し,この不変量が実際に多くのホップ代数の非同値性を判定できることを示した。また,有限群の群環に対しては,この不変量は三次元多様体の理論を用いて意味づけできることを示した。 2半単純ホップ代数に由来するとは限らないより広いクラスのモノイダル圏に対して不変量を定義した。これを用いて,上記不変量の族の一部として現れる正則表現のFrobenius-Schur indicatorに関する研究を行い,群論的と呼ばれるクラスのホップ代数に対するこの量の公式を得た。実際にこの公式を用いることで,これまでほとんど計算されていなかった正則表現のFrobenius-Schur indicatorを具体的に計算することに成功した。また,この公式を用いることで,この量とガウス和とが関係していることが明らかになった。 3.さらに有限次元半単純ホップ代数に対するFrobeniusの定理を予想し,これを部分的に解決した。
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