2009 Fiscal Year Annual Research Report
16-17世紀イスタンブル都市民の人的社会結合と生活心性についての社会史研究
Project/Area Number |
09J02148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 遼 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中東研究 / トルコ史 / トルコ文学 / 都市社会史 |
Research Abstract |
本研究「16-17世紀イスタンブル都市民の人的社会結合と生活心性についての社会史研究」は、同時代人の都市民観察、および社会生活という大別して二つの研究段階を順次遂行することを当初から標榜しており、本年度はこのうち都市観察についてエヴリヤ・チェレビー『旅行記』という郷土史的地誌の大著の内容整理およびイスラム文化圏の地誌的伝統におけるその位置づけについての研究をまず行った。これについては来年度に論文として発表することを予定している。一方、上記の学会発表は社会生活の領域に属するものであり、新史料の紹介と解題を行った。16世紀トルコ古典文学は元来、選良層によって担われたために同時代の生活実景を反映するところがはなあだ少ないとされてきたが、本史料は民衆的な詩人によって書かれた職人批判の韻文作品であり、交流を外れたマイナーな文学史料を活用して当時の社会生活を窺うことが出来るという点を特に主張したものである。のこれについても研究ノートの形での発表を予定している。これに加え、1月から2月にかけてトルコ共和国へ海外調査へ赴き、調査、文献収集を行った。そこでは主に未刊行のトルコ古典文学史料写本の調査を主としたが、近年トルコでは出版が増加しつつある文学史料、東方旅行記史料の刊本、研究書の収集も合わせて行った。一方共訳となっている翻訳書はノーベル文学賞作家オルハン・パムクの作品の初の邦訳であるが、本邦ではほとんど知られていない中東現代文学を巷間流布せしめる目的で依頼を受けた。全体として採用一年目の本年度は研究成果発表に向けての蓄積の時期として位置づけられる。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 白い城2009
Author(s)
オルハン・パムク著, 宮下遼・宮下志朗共訳
Total Pages
257
Publisher
藤原書店