2009 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルにおける土地私有化政策と「囲い込み」に関する人類学的研究
Project/Area Number |
09J02184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
滝口 良 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 土地私有化 / モンゴル / ポスト社会主義 / 囲い込み / ゲル地区 |
Research Abstract |
二年間の研究計画のうち第一年度にあたる平成21年度においては、モンゴル国首都ウランバートル市における土地私有化政策と市民生活への影響を主題として研究を行った。本年度の成果は以下の三つの研究発表及び調査にまとめられる。i)ウランバートル市における土地私有化政策のための「教示」に関する調査研究、ii)ウランバートル市都市部における「囲い込み」の調査研究、iii)ウランバートル市の周囲に広がる「ゲル地区」における街路改善プロジェクトの調査研究 i)ウランバートル市において公園や広場などの「共有地」が企業によって柵で囲われて占有され、利用者である地域住民との間に緊張関係が生じている。こうした「共有地の囲い込み」に対して行われた、地域住民による「自分たちの土地」への主張が依拠する枠組みや権威の所在の分析を通じて、体制転換後のモンゴル国の都市部における土地と地域住民の関係の様態に注目した。 ii)土地私有化を実施する行政、法学者、国際機関が「土地を所有する」ということをどのように市民に対し説明するのか、その教示の内容に注目した。新たな土地所有者としての市民像を描く教示は、新たな土地所有とかつての土地所有の差異、新たな都市の居住スタイルと古い(遊牧の)居住スタイルの差異を描き出している。こうした「よき土地所有者への教示」とゲル地区の住民からの聞き取り調査の結果を比較し、その実際との乖離を明らかにした。 iii)ウランバートル市の周辺部(ゲル地区)において土地利用と地域住民に関わる調査を行った。社会主義体制崩壊後、ウランバートル市は急速な人口集中による無秩序な土地利用が問題化している。こうした土地利用を改善するために現在実施されている二つのプロジェクトを調査し、ウランバートル市における土地利用と地域住民との関係に注目した。
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Research Products
(2 results)