2009 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリー電気泳動を用いるアポトーシスに関わる生命現象の解析
Project/Area Number |
09J02209
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 淳司 Kyushu University, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アポトーシス / ゲル電気泳動 / DNA断片化 |
Research Abstract |
現在ライフサイエンス領域の研究が急速な進展を見せる中、これまでの研究において、ピコ秒レーザーと超高速ゲートを有するICCDカメラを組み合わせ、細胞内の諸現象を可視化できる蛍光寿命イメージング装置を開発した。本蛍光寿命イメージング装置を用いて、抗癌剤の薬効評価を行ってきたが、抗癌剤によりアポトーシスを誘導した癌細胞について、蛍光寿命の減少が確認された。本研究では、アポトーシスにより引き起こされる諸現象のうち、DNAの断片化および細胞内pHの低下について着目し、蛍光寿命との関連性について評価を行った。対数増殖期にある培養細胞にアポトーシス誘導薬を投与後、処理時間毎にディシュに付着している細胞からDNAを抽出し、ゲル電気泳動により分離検出を行ったが、断片化DNAは確認されなかった。さらに、抗癌剤投与後、接着性を失い浮遊した細胞においても、抽出DNAの検出を行ったが、断片化が見られたのは、処理時間が12時間を超える場合であり、蛍光寿命現象との相関は見られなかった。また、各pHの緩衝溶液に溶解したDNA溶液について蛍光寿命測定を行ったが、蛍光寿命値は一定であり、pHとの蛍光寿命の間には相関性がないことも明らかになった。これらの結果を踏まえ、他の因子である、クロマチン凝縮の際に起こる蛍光色素-DNA間のエネルギー移動が蛍光寿命変化に大きく寄与していることが考えられる。本研究結果は、本イメージング装置の有用性を示すものであることから、薬効評価等の早期診断法として活用できる本装置は、創薬スクリーニングにおいて大いに貢献できると期待される。
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