2009 Fiscal Year Annual Research Report
R.M.ヘアのメタ倫理学、普遍的指令主義を基底とした道徳性の研究
Project/Area Number |
09J02216
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 岳詩 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | R.M.ヘア / メタ倫理学 / 選好功利主義 |
Research Abstract |
本研究は二つの目的をもって行われた。第一にヘアの倫理学について決定的な解釈を呈示すること、第二に日常生活で直面するモラルジレンマや、社会問題を解決する道徳理論を提出することである。両目的を達成するために、本研究は特に次の1から3のプロセスにおいて行われた。 1.道徳性の源泉:優越性によって道徳の実質的定義を与える 優越性という視点から、ヘアの枠組みにおける道徳の定義について検証する作業を行った。これによって道徳とは各人が優越的に扱っているものであるという形で、道徳哲学の研究の対象を明らかにした。 2.規範倫理学理論に依存しない道徳判断の論理:功利主義を前提しない道徳の特性を呈示する 特定の規範倫理学理論に依存しない、誰にとっても受け入れ可能な道徳の論理的特性を示すことを試み、ヘアの選好功利主義の再評価を行った。特にこの点は従来のヘア解釈が彼の理論を一介の規範倫理学理論と見なしてきたことに対し、そうではない合理性に基づく新しいヘア理解を提唱した。 3.我々はいかに生きるべきか:選好功利主義と生きる理由、動機づけについて論じる ヘアの議論と生き方という倫理学の中心問題の関係について検討した。特にC.コースガードらの議論を利用することで、ヘアの議論が欠くとされてきた問題を彼の枠内で論じることに成功した。 なお、これらの成果は学位論文「R.Mヘアの道徳哲学」に採録されている。
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Research Products
(1 results)