2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中久保 辰夫 Osaka University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 古墳時代 / 渡来文化 / 渡来人 / 朝鮮半島系土器 / 土師器・須恵器 / 集団関係 / 地域性 |
Research Abstract |
国家形成期にあたる古墳時代に渡来人が大きな役割を果たしたことはよく知られている。近年、考古学研究の進展によって、様々な出土資料から渡来人の足跡をたどることが可能となってきた。しかし、その成果として浮かび上がってきた地域性、多様性の評価が論点となっている。そこで本研究では、古墳時代の土器資料を主対象として、日本列島における渡来文化受容の共通性と地域性を把握し、その背景について考察することを目的としている。 本年度では、研究実施計画に即して次の実績を挙げた。 第1に的近畿地域を対象とする韓式系軟質土器の受容過程、初期須恵器・陶質土器と土師器の影響関係に関する研究成果を公表した。前者では集落を単位として、韓式系軟質土器が在来の土器に与える影響に強弱があることを指摘し、その背景に集団関係の違いを読み取った。後者の内容は、5世紀における供膳器の変質を整理し、朝鮮半島各地に由来する外来の供膳器は特定の集落に結集することを指摘した。近畿地域における渡来文化受容の核となる集落が浮かび上がってきている。 第2に、近畿地域との差異と共通性を探るために、予定通り、九州地域、瀬戸内地域に資料調査を実施した。加えて、韓国各地においても調査を行い、故地の実態把握に努めている。その結果、器種の選択にみる共通性、文様や製作技術などに反映する地域色、土器の変容過程が把握できてきた。現在、地域間の比較結果をもとにいくつかの論文を公表する準備をしている。
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Research Products
(3 results)