2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中久保 辰夫 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 渡来人 / 日韓関係 / 古墳時代 / 韓式系軟質土器 / 土師器 / 政権交替論 |
Research Abstract |
古墳時代に渡来人が大きな役割を果たしたことはよく知られている。そして、近年、考古学研究の進展によって、様々な出土資料から渡来人の足跡をたどることが可能となってきた。しかし、その成果として浮かび上がってきた地域性、多様性の評価が論点となっている。そこで本研究では、古墳時代の土器資料を主対象として、日本列島における渡来文化受容の共通性と地域性を把握し、その背景について考察することを目的としている。 本年度では、韓半島から多数の渡来人が移住し、在来の集団が外来の文化・技術を積極的に導入する前段階、3・4世紀の日韓交流のあり方について検討した。具体的には、小型丸底土器から須恵器〓への変化をもとに時間軸を設定し、日本列島内の集落動態、韓半島系土器の出土様相、韓半島の陶質土器である広口小壼・有孔広口小壷と日本列島出土土器との関係性を明らかとし、次の2点を導き出した。 第1点目は、4世紀後半、日本列島内に韓半島系土器は流入せず、連動するように3世紀以降、地域の拠点となってきた集落遺跡は連鎖的に衰退していることである。当該期、日韓の交易拠点は韓半島南東部、加耶の地に勃興する。第2点目、5世紀を前後する時期、日本列島各地の交流相手が韓半島南東部から南西部へ変化する。韓式系軟質土器の故地の多くが韓半島南西部の栄山江流域を故地とすることを踏まえると、5世紀以降の渡来人増加と渡来文化の積極受容の背景に、こうした日韓関係の変化があるのである。本研究では、日韓交流の展開が日本列島各地で足並みをそろえていることに着目し、4世紀後半における国内事情と関連付け、古墳時代政権交替論の中に位置づけた。
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Research Products
(5 results)