2009 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来タンパク質導入によるiPS細胞作製に関する研究
Project/Area Number |
09J02235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
築山 智之 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | iPS細胞 / リプログラミング / 無細胞抽出系 / 脱分化 / ブタiPS細胞 / イヌiPS細胞 / ウサギiPS細胞 / 大動物iPS細胞 |
Research Abstract |
独自に構築した実験系を用い、一般的に広くiPS細胞株が樹立されているマウスやヒトに加え、ブタ・イヌ・ラットなどの大型動物種においてもiPS細胞を樹立することに成功した。これらの細胞株は、コロニー形態・増殖能・遺伝子発現・エピジェネティック修飾・FGFシグナリング経路に対する依存性・トリプシンによる単一細胞解離に起因する細胞死およびROCK阻害剤による細胞死の回避・胚様体形成を介した三胚葉由来組織への分化などの点で従来のヒト型ES・iPS細胞と類似していることが分かった一方、外来の多能性因子の発現抑制ができなかったり、テラトーマ形成できず十分な分化能を持たないなど、完全な多能性基底状態を有するiPS細胞ではないことも判明した。これらの問題点を解決するため、本研究では、樹立したiPS細胞株および樹立途中のiPS細胞に複数の増殖因子・化合物(LIF, bFGF, TSA, VPA, 5'-Aza)や化学的阻害剤(Mek/Erk阻害剤、GSK3阻害剤、Alk5阻害剤)を組み合わせて処理することによって、完全な多能性基底状態を有するiPS細胞を樹立することを試みた結果、ブタにおいて、多能性基底状態を有するマウスES細胞と類似した形態を示すiPS細胞が樹立できることを見出した。近年、マウス多能性幹細胞とヒト多能性幹細胞との違いに関する研究が世界中で興味を持って進められており、本研究で得られた成果はこれらの研究に対し、重要な示唆を与えるものであると考えられる。
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Research Products
(4 results)