2010 Fiscal Year Annual Research Report
音象徴語の統語と意味に関する通言語的・発達的研究:語彙的類像性の役割
Project/Area Number |
09J02238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 喜美 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音象徴 / オノマトペ / 擬音語・擬態語 / 類像性 / フレーム意味論 / 構文文法 / 通言語比較 / 言語習得 |
Research Abstract |
本年度は、大きく分けて以下の三点を押し進めた。1.従来、「鮮明」や「感性的」のような直感的形容ばかりがなされてきた音象徴語(擬音・擬態語)の意味について、昨年度までの実験的アプローチを補う形で、コーパスを利用した客観的特徴付けを本格化させた。手法は、音象徴語(じろじろ)と動詞(見る)や名詞(目)のコロケーションを抽出し、オンライン語彙データベース「フレームネット」に基づき意味分析を行うというものである。結果、音象徴語は一般副詞より意味的に遥かに限定された共起特性を見せ、事象描写の具体性が示された。本研究は、意味フレームの具体性測定法の提案として理論的意味合いも持つ。2.開始から一世紀ほど経ち、混沌さが増している国内外の音象徴(語)研究を整理するという初の試みを行った。包括的な研究史を執筆し、過去と未来の研究課題を見直した他、2005年よりウェブ公開している文献目録を大幅に更新した。3.心理学者と共同で、音象徴(語)の第二言語習得に関する実験を進めている。母語以外の音象徴的マッピングの理解には、母語の音韻体系、語彙体系、意味尺度などが、何らかの優先順位を持って関わってくることが示唆されている。以上の他、擬音語の指示的具体性と拡張可能性の関係に関する通言語的考察、音象徴語の母音分布の実験的検証、また使用域指定のある日本語動詞(ぽいする、ぶっとぶ)の構文論的考察なども仕上がりつつある。このように、本年度は研究の視野・手法・活動範囲を相当に拡張・充実させた年として位置付けられよう。
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Research Products
(14 results)