2009 Fiscal Year Annual Research Report
音象徴語の統語と意味に関する通言語的・発達的研究:語彙的類像性の役割
Project/Area Number |
09J02238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 喜美 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音象徴語 / 擬音語・擬態語 / オノマトペ / 類像性 / 意味論 / 通言語比較 / 言語習得 / フレーム |
Research Abstract |
1.本年度は、音象徴語(擬音・擬態語)の通言語的・発達的研究の土台造りを、特に(語彙的類像性に並ぶ)音象徴語の根本的意味特性の追究という形で押し進めた。博士号取得後の7月よりカリフォルニア大学バークリー校言語学科に客員研究員として渡った。同学科は、とりわけフレーム意味論と構文文法の発祥の地であり、現在もその中心を担っており、本研究に直接的な影響を与えている。具体的には、「音象徴語は具体的な経験・状況(フレーム)を喚起する語である」という仮説を提唱し、以下の個別課題に着手した。 (1)日本語音象徴語における「と」の生起条件 (2)日本語の強調副詞(例:こんがり)の構文論的分析 (3)日本語大規模コーパスにおける音象徴語と動詞・名詞の共起特性 (4)日英韓中4言語における擬音語の指示対象と意味拡張の関係 (5)音象徴語の母音の共起パタン (1)~(3)については、既にの文章化・投稿の段階にある。フレームという一般的概念の導入により、これまで分析的には扱いにくいとされてきた音象徴語の意味を、精密に記述することが可能となった。また本枠組は、博士論文研究で用いた機能統語論や構文形態論といった言語モデルの肉付けとなることから、本研究の基盤として十分機能することが期待される。 2.これと並行して、3つの新規プロジェクト(音象徴の通言語的・発達・進化的研究(代表:今井むつみ氏)、ビデオを用いた空間移動表現の日英比較(代表:松本曜氏)、翻訳・言語習得における移動表現と音象徴語の通言語比較(代表:Iraide Ibarretxe-Antunano氏)への参加が決まり、調査を開始した。 3.研究成果は、6月にトロントで行われた類像性に関する学会での発表・論文集に加え、国際ジャーナルへの投稿という形で発表している。また、自ら主催する音象徴語の学際的研究会での発表と、来年度に予定している国際・国内学会シンポジウムの下準備を進めた。
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Research Products
(6 results)