2009 Fiscal Year Annual Research Report
変性状態の構造情報を基にしたアミロイド線維化抑制法の開発
Project/Area Number |
09J02243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三島 朋徳 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 変性状態 / アミロイド線維化 / NMR緩和解析 |
Research Abstract |
アミロイドはタンパク質から構成される線維状凝集体であり、様々な疾患発症への関与が指摘されている。しかし、未だにタンパク質のアミロイド線維化抑制法は確立されていない。本研究では、変性状態の構造情報に着目し、タンパク質の線維化を抑制する新規方法論の確立を目的とした。これまでに、変性状態におけるタンパク質の残存構造が線維化に重要であることが分かっていた。本年度の研究では、抗体λ6鎖Jto、Wilを用いてさらに詳細な解析を行った。その結果、WilがJtoよりも3つ多く有するHis残基を変異させると、WilのN末端側のR_2値(NMR緩和解析により得られる、残存構造の指標となる値)のみが大きく上昇し、さらに線維化がより早い時期に開始することが分かった。即ち、Wilの3つのHis残基がJtoとの違いに大きく寄与していることが示された。特に、変異によってN末端側のR_2値のみが大きく上昇すると線維化しやすくなることが分かった。さらに、Wil変異体のNMRスペクトルの経時的変化を解析した。その結果、N末端、C末端を除く広範囲のアミノ酸残基で変化が観察され、速い化学交換が生じる領域と遅い化学交換が生じる領域が存在することが示唆された。特に、速い化学交換が観察された領域は残存構造が保たれた領域とよく一致していることから、残存構造が何らかの形で分子内あるいは分子間相互作用に関わっている可能性が考えられる。以上の研究成果は、タンパク質の構造と線維化のつながりの理解、ひいては線維化抑制剤の開発に有用であると考えられる。
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Research Products
(4 results)