2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02309
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
阿部 俊大 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・総合国際学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中世史 / 征服 / 植民 / 統治構造 / 社会発展 / 異文化変容 / イスラム / スペイン |
Research Abstract |
当該年度は、主として12から13世紀におけるバルセロナ伯と教会の関係、またその統治構造や征服・植民活動への影響の分析を行った。その際、イスラム地域の征服・植民における教会の役割と、アラゴン連合国王(バルセロナ伯)の政策の解明に焦点を置いた。ローマ教会とバルセロナ伯の関係など、外交状況の影響も考慮された。 地域的には、この時代にイスラム教徒から征服され、植民が進められたカタルーニャ南部が中心となった。史料はバルセロナ伯や教会領主、ローマ教会などの刊行史料を中心とした。具体的な作業は、地区ごと・時期ごとに、また文書発給の相手の類型ごとに、植民に際してバルセロナ伯の政策や対応にどのような差違が生じるかの、系統的な分析を中心とした。作業の過程で、8月にはバルセロナなどで調査活動を行い、バルセロナ大学の教授とも意見を交換し、議論を深め、かつアラゴン連合王国文書館などでも必要な補足調査を行った。 これらの作業の結果、イスラム勢力から征服された地域の統治構造、社会発展、異文化並存について、現地の学界の従来の通説と異なる見解を導き出し、論証していくことが出来た。その成果は、博士論文としてまとめられ、2010年3月に東京大学大学院人文社会系研究科に提出された。また、その一部は雑誌論文としてまとめられ、2010年度の『地中海学研究』誌、また『歴史学研究』誌に掲載が決定している。
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