2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02309
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
阿部 俊大 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 特別研究員PD
|
Keywords | アラゴン連合王国 / 統治構造 / 政治思想 / 教会 / カタルーニャ |
Research Abstract |
前年度に続き、研究テーマである「中世盛期アラゴン連合王国における統治構造の変容」についての研究を行った。当該年度は特に君主権力と教会の関係についての分析を進めた。 このうち、十二世紀のアラゴン連合王国国王とテンプル騎士修道会の関係についての研究は、論文としてまとめ、『西洋史学』誌に掲載することが出来た。また、十二世紀から十三世紀初頭にかけての同国王とタラゴーナ大司教座の関係についての研究も論文としてまとめ、『史学雑誌』誌に掲載することが出来た。さらに、十二世紀の国王とジローナ司教座の関係はスペイン語で論文としてまとめ、スペインの代表的な中世史専門の学術雑誌であるActa Historica Archaeologica et Mediaevalia誌に投稿し、2012年号への掲載が決定されている。 また、論文の活字化に並行し、海外での学会報告も積極的に行うことが出来た。2011年6月にはスペインのリェイダ大学で開かれたInternational Medieval Meetingにおいて、また7月にはイギリスのリーズ大学で開かれたInternational Medieval Congressにおいて、それぞれイスラーム教徒からの征服地におけるアラゴン連合王国国王と教会の関係について報告を行った。 さらに、バルセロナ大学中世史・古文書学専門分野の教授陣の勧めを受け、上記の諸成果をはじめとする研究成果をスペイン語で博士論文としてまとめ、同大学同専門分野に提出することが出来た。2012年2月に当該博士論文の審査会が開かれ、結果として同大学から博士号を授与された。 このように、当該年度は多くの研究を様々な形態で成果として形に残し、かつ国内だけでなく、スペインやイギリスなど海外でも積極的に発信し、評価を得ることが出来た。このことは、我が国の西洋史研究の動向やレベルを国際的に認知してもらう上でも意義があり、また今後、国際的に研究活動を展開していく上で必要な知名度や人脈を築くことが出来た点で、重要性を有すると考えられる。
|