2010 Fiscal Year Annual Research Report
赤外分光法による鉱物粒界水の存在状態と脱水・拡散挙動の研究
Project/Area Number |
09J02327
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 惇一 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 岩石・鉱物 / 変形 / 水 / 輸送 / 赤外分光法 / EBSD |
Research Abstract |
岩石,鉱物中において水は,結晶構造中や粒界に普遍的に存在することが知られている.水の状態,分布,鉱物中および粒界中での輸送は,地球内部構成物質のレオロジーと呼ばれる変形や流動特性を律速する最重要な因子である.このような背景の下,本年度では以下に記す研究を行った. 鉱物結晶構造中に保持されたH_2O分子の状態を赤外分光スペクトルの変化から推察した.その結果,H_2O分子は周囲の結晶構造や内包する陽イオンと相互作用して,その配向状態や振動挙動が変化することが分かり,学術論文として報告した(Fukuda and Shinoda,印刷中).また中部地殻条件下(~2kbar,450℃)で変形した天然の花崗岩質塑性変形岩中に豊富に含まれるマイクロメートルスケールの長石に注目し,形態観察,組成分析を行った.さらに,EBSD分析を用い,互いの粒子の結晶方位関係を測定した.これら一連の作業から,中部地殻条件下において,長石の変形は溶解-沈殿クリープによってコントロールされていることを示唆した.また,試料の粒界や粒内に保持された水の状態と量を赤外分光法により測定した.水が関与したと考えられる溶解沈殿クリープが起きた長石領域では,含水量が少ないことが分かった.このことから変形時に水は周囲に放出された可能性を示唆した.このように,岩石の変形機構と変形に関与した水の輸送機構について考察し,これらの結果を学術発表した.
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Research Products
(5 results)