2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02332
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嶋寺 光 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸性霧 / 数値気象 / 大気質モデル / 越境大気汚染 / 霧水沈着 / 酸性沈着 |
Research Abstract |
酸性沈着問題を扱う場合,主に降雨に伴う酸性物質の沈着や乾性沈着が対象とされている。しかし,霧水中の汚染物質濃度は,雨水中に比べて数倍から十倍以上も高く,六甲山などの霧が頻繁に発生する地域では,森林植生への霧水沈着量は降雨量に匹敵する場合もある。したがって,酸性霧が植生等に付着することによって生じる酸性物質の沈着も重要であるといえる。以上の認識のもと,本研究は,数値モデルを活用し,霧による森林植生への沈着も含めて,酸性物質の沈着量を評価することを目的としている。 霧は発生後,周囲の大気汚染物質を取り込むことで汚染されるため,地域汚染の影響が比較的強いと考えられる。これまでの研究で,日本では国外からの越境大気汚染によって大量の大気汚染物質がもたらされていることが示されてきたが,越境大気汚染が酸性霧に及ぼす影響についてはあまり知られていない。そこで,3次元数値気象/大気質モデルのMM5/CMAQを用いて東アジア~近畿圏を対象に数値シミュレーションを行い,越境大気汚染による霧水中の酸性物質濃度への寄与を評価した。その結果、近畿圏における霧水の化学組成は、エアロゾルや雨水の化学組成とほぼ同等に、越境大気汚染の影響を強く受けていることがわかった。また本年度より,山地の森林における霧水沈着量を推定するために,転倒マス型雨量計を用いた林内雨測定と,MM5/CMAQの結果から霧による酸性物質沈着量の分布を推定するために,霧沈着モデルの開発を行っている。
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Research Products
(2 results)