2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02332
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嶋寺 光 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸性沈着 / 霧水沈着 / 数値気象/大気質モデル / 越境大気汚染 |
Research Abstract |
霧水中の酸性物質濃度は雨に比べてはるかに高く,霧が頻繁に発生する山地などの森林地域では多量の霧水沈着がもたらされるため,地域によっては霧による酸性物質の沈着も湿性沈着や乾性沈着と同様に重要な沈着過程となる。本研究は,数値モデルを活用し,霧による森林植生への沈着も含めて,酸性物質の沈着量を評価することを目的としている。 本年度は,まず森林植生への霧の沈着過程を計算する数値モデルを開発し,その妥当性を検証した。また,霧沈着モデルと昨年度実施した3次元数値気象/大気質モデルMM5/CMAQによる2005年3月のシミュレーション結果を用いることで,近畿圏における霧水沈着およびそれに伴う酸性物質沈着量の推定が可能であることを示した。さらに,3次元数値気象/大気質モデルWRF/CMAQと霧沈着モデルによって,2004年4月~2005年3月の1年間の近畿圏を対象とし,霧水・湿性・乾性沈着による酸性物質沈着量の分布の予測を行った。まず,WRF/CMAQによるアジア~近畿圏を対象としたシミュレーションにおいて,気象場や大気・降水・霧水中の酸性物質濃度が良好に再現され,近畿圏において霧水中濃度が降水中濃度に比べてはるかに高くなることを示した。また,近畿圏における霧水沈着量の推定において,霧が頻繁に発生する山地では,霧水沈着量の降水量に対する比率が10%を上回るところもあった。霧による酸性物質の沈着については,霧水沈着量が多い山地では,沈着量が湿性沈着に匹敵しているところも見られ,広範囲で乾性沈着を上回った。この結果から,近畿圏の山地における霧による酸性物質の沈着の重要性が示された。
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Research Products
(3 results)