2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮-間葉転換における接着分子ネクチン-アファディン系の役割と制御機構
Project/Area Number |
09J02358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小村 仁美 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 上皮間葉転換 / アファディン / PDGF / インテグリン / ネクチン様分子 / SHP-2 |
Research Abstract |
上皮-間葉転換(EMT)は上細胞が間葉系細胞に変化する現であり、初期胚発生やがんの浸潤・転移と深く関係している。EMTは細胞間接着の破綻や細胞極性の消失、細胞運動能の亢進などにより生じる。新規の接着分子ネクチンとその細胞内領域に結合する分子アファディンは細胞間接着において重要な役割を果たしており、ネクチンと結合しないアファディンは運動する細胞の先導端にも集積する。このことから、アファディンはEMTにおいて重要な細胞運動を制御していると考えられ、本年度はその分子機構を検討した。 マウス線維芽細胞株NIH3T3細胞を血小板由来増殖因子(PDGF)で刺激すると、PDGFの刺激方向に運動先導端形成して細胞運動をする。しかし、アファディンをノックダウンした細胞ではPDGFの刺激方向とは無関係に小さな運動先導端が形成されるだけとなり、運動能自体は抑制されなかったが、PDGFの刺激方向への方向性を持った細胞運動は阻害された。アファディンは様々な分子内ドメインを持つが、活性化した低分子量Gタンパク質Rap1との結合に必要なRAドメインを欠損した変異体をアファディンノックダウン細胞に導入しても、全長のアファディンを導入した場合と比較して、方向性を持った細胞運動は回復しなかった。また、NIH3T3細胞にアファディンのRAドメインを過剰に発現させると内在のアファディンとRap1との結合が阻害され、方向性を持った細胞運動は抑制された。このことから、アファディンはRAドメインを介して活性型Rap1と結合することで細胞運動の方向性を制御することが明らかになった。今後はこの解析結果をさらに進展させ、EMTの分子機構の全容解明を目指す。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Localization of nectin-free afadin at the leading edge and its involvement in directional cell movement induced by platelet-derived growth factor2009
Author(s)
Muneaki Miyata, Hisakazu Ogita, Hitomi Komura, Shinsuke Nakata, Ryoko Okamoto, Misa Ozaki, Takashi Majima, Naomi Matsuzawa, Satoshi Kawano, Akihiro Minami, Masumi Waseda, Naoyuki Fujita, Kiyohito Mizutani, Yoshiyuki Rikitake, Yoshimi Takai
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Journal Title
J.Cell Sci. 122巻
Pages: 4319-4329
Peer Reviewed