2011 Fiscal Year Annual Research Report
高経年化原子炉圧力容器鋼の照射脆化に及ぼすMn影響の解明
Project/Area Number |
09J02369
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藪内 聖皓 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | RPV鋼 / 照射硬化 / モデル合金 / TEM / ナノインデンター / イオン照射 |
Research Abstract |
前年度までに、Fe-Mn合金において顕著な照射硬化が発現することを見出し、その顕著な照射硬化が微細な転位ループが高密度に分散されていることが原因であることを明らかにしている。本年度はその微細かつ高密度な転位ループの形成メカニズムについて詳細に調べた。Pure-FeおよびFe-Mnモデル合金を作製・加工し、京都大学のイオン加速器においてFeイオンを照射した。照射された各試料について硬さ試験を実施するとともに、その微細組織観察をTEM、FETEMを用いて行った。高密度の転位ループの形成メカニズムについて、転位ループの一次元拡散運動が大きく影響を及ぼしていると考え、昇温ホルダーを用いて、TEM内で温度を上げて時効実験を実施し、転位ループの一次元運動について観察した。Pure-Fe中では、転位ループは350℃以上において容易に一次元拡散運動をしたが、Fe-1.4Mn合金中では、550℃まで転位ループの一次元拡散運動は確認されなかった。このことから、Fe-Mn合金中では、Pure-Feに比べ、転位ループの一次元拡散運動が抑制されることが明らかとなり、Mnが転位ループの拡散運動に影響を及ぼしていることが、高密度の転位ループ形成の一因であることを明らかとした。また、大阪大学超高圧電子顕微鏡センターの有する、超高圧電子顕微鏡を利用し、格子欠陥とMnとの相互作用についても実験を実施した。本成果は、国際会議(2回)、国内会議(3回)にて発表した。
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Research Products
(5 results)