2010 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟植生の揺動と流れ場の相互作用およびその物質輸送に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09J02379
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 隆明 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発達メカニズム / 混合層 / PIV / 運動量輸送 / 大規模組織渦 / 柔軟植生 / LES数値解析 / 3次元構造 |
Research Abstract |
底面に植生帯を有する流れ場の発達過程の解明を目的とした研究を行った.植生として剛性の高く水流によって変形しない剛体植生モデルを用いた.計測位置を植生域の上流端から下流までトラバースさせPIV実験を行い,植生域上流端からの組織構造の流下方向の発達過程を計測した.植生流れの発達過程は大きく2つの領域に分けて考えることが妥当であることがわかった.すなわち,流れが発達途上にある領域と流れが十分に発達した領域である.2つの領域において混合層との類似性が確認されたが,発達途上にある領域では混合厚が小さく,十分に発達した領域では混合厚は一定になることが明らかになった.さらに発達メカニズムを支配するパラメーターについて考察した結果,植生密度によって流れが十分に発達し安定するまでの距離が変化することを解明した. これらの研究成果を柔軟性を有する植生流れに適用することで,本研究課題名にも挙げられている藻波現象の発生のメカニズムの詳細構造が明らかになると考えられ,今後の柔軟植生研究のさらなる発展が期待される.国際学会にも積極的に参加し,これまでの研究成果について6件の研究発表を行った.特に柔軟植生の植生変位と流速を同時計測している例は他にみられないため,本研究課題名に挙げられている柔軟植生の研究は海外研究者から非常に高い評価を受けた. また植生流れの物質輸送メカニズムに関する数値計算を行い,その成果は国際水理ジャーナルJournal of Hydro-environment Research, No.118, pp.1-13に掲載が決定した.物質輸送メカニズムの解明は河川環境上重要なテーマであるが,植生流れについて研究した例は非常に少なかったため国外の研究者から高い評価を受けた.これらの成果は既に2009年8月33-rd IAHR Congressバンクーバー大会と2010年2月IAHR-APD Congressオークランド大会で発表し,大きな成果が得られている.
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