2009 Fiscal Year Annual Research Report
発達期ストレスにより誘発される神経精神障害の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
09J02411
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
衣斐 大祐 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 統合失調症モデル動物 / 遺伝子-環境相互作用 / DISC1 / PolyI:C / 神経発達 |
Research Abstract |
統合失調症は遺伝要因と環境要因が複雑に相互作用することで発症する。これまでの統合失調症モデル動物は遺伝要因または環境要因のみに基づいたモデルであった。しかし統合失調症が遺伝子-環境相互作用に基づいて発症することを考えるとこれまでの統合失調症モデル動物は真の病因および病態生理を明らかにするには適していない。そこで本研究では世界で初めて遺伝子-環境相互作用に基づいた統合失調症モデルマウスの開発を試みた。遺伝要因として脆弱性遺伝子DISC1の変異型transgenic(DN-DISC1)マウスを用いた。環境要因としては周産期のウィルス感染が統合失調症発症リスクを高めることが知られているため、擬似ウィルス感染を誘発するpolyI:Cを新生児マウスに処置した。新生児期にpolyI:Cを処置したDN-DISC1マウスが8週齢になった時点より各解析を開始した。その結果、本モデルマウスは統合失調症患者が示すような陽性・陰性症状および認知障害を示した。これらの行動異常は抗精神病薬で改善された。さらに統合失調症患者の死後脳においてパルブアルブミン(PV)陽性GABA作動性神経の数が減少する。そこで本モデルマウスの前頭前皮質におけるPV陽性GABA作動性神経の数を測定したところコントロール群と比べて有意に減少していた。これら行動学的および組織学的表現型は統合失調症患者においても認められるものであり、本モデルマウスが遺伝子-環境相互作用に基づいた統合失調症モデル動物として有用であることが考えられる(Ibi et al., 2010, Behav Brain Res)。本モデル動物を用いることで多因子疾患としての統合失調症の病因および病態生理の解明や新規抗精神病薬の探索が進むことが考えられる。今後は、遺伝子-環境相互作用に基づいた統合失調症発症に関わる分子メカニズム解明を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Combined effect of neonatalimmune activation and mutant DISC1 on phenotypic changes in adulthood.2010
Author(s)
Ibi D, Nagai T, Koike H, Kitahara Y, Mizoguchi H, Niwa M, Jaaro-Peled H, Nitta A, Yoneda Y, Nabeshima T, Sawa A, Yamada K.
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Journal Title
Behav Brain Res 206
Pages: 32-37
Peer Reviewed
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[Journal Article] Neonatal polyI : C treatment in mice results in schizophrenia-like behavioral and neurochemical abnrmalities in adulthood.2009
Author(s)
Ibi D, Nagai T, Kitahara Y, Mizoguchi H, Koike H, Shiraki A, Takuma K, Kamer H, Noda Y, Nitta A, Nabeshima T, Yoneda Y, Yamada K.
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Journal Title
Neurosci Res 64
Pages: 297-305
Peer Reviewed
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