2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02420
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲野 瞬 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA-ペプチド複合体(RNP) / 人工酵素 / in vitroセレクション / RNP段階的機能化 / リセプター / NMR / 二次構造解析 |
Research Abstract |
本研究では、RNA-ペプチド複合体(RNP)を基本骨格に用いてRNAサブユニットに標的とする化学反応の基質結合場を構築したRNPリセプターを作製し、さらにペプチドサブユニットに遷移状態アナログ結合場を構築するあるいは触媒活性をもつ活性部位を導入することで、エステル結合あるいはペプチド結合の加水分解反応を触媒する「RNP酵素」の作製を目指した。RNP酵素を合理的に作製するためには、in vitroセレクションにより作製するRNPリセプターの基質選択性の制御、活性部位を導入するための設計指針の獲得、そしてRNAサブユニット中の基質結合場とペプチドサブユニットの活性中心の立体的な配置の制御が重要となる。これらの課題は、機能性RNPの構造と機能の相関性を明らかにすることにより克服できると考えられるが、過去に報告されたRNPリセプターやセンサーの構造情報は得られていない。そこで、ATP結合性RNPに対するNMR測定、二次構造解析を行い、構造情報をもとにしてRNP酵素作製に向けたより合理的な設計の指針を得ることを目指した。これらの構造解析と変異体を用いたRNPリセプター、RNPセンサーの機能評価を行った結果、RNPはU:A:Uトリプルを形成してATPと結合することが明らかになった。このRNPは基質結合時に形成する塩基対の数が非常に少なく、過去に報告されたATPアプタマーとは全く異なる構造そしてATP結合様式をもつことが示唆された。また、過去に報告されているATPアプタマーとの選択条件の比較によって、in vitroセレクションにより選択されたRNPの基質結合様式はライブラリーの塩基数には大きく影響を受けず、樹脂への基質固定化様式に著しく影響を受けることを明らかにした。本研究により得られた構造情報および機能との相関性に関する知見は今後RNP酵素を作製するための基礎的な情報となる。
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