2009 Fiscal Year Annual Research Report
偽ロンギノス『崇高論』の研究:言葉とイメージによる共同体の「媒介」の問題を中心に
Project/Area Number |
09J02430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 太 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 崇高 / 修辞学 / 詩学 / 偽ロンギノス / パンタシアー / バーク |
Research Abstract |
本年度の研究においては、主に18世紀から20世紀にかけての偽ロンギノス『崇高論』受容史を精査した。とりわけ本年度の前半は、エドマンド・バークの『崇高と美の観念の起源』(1757)を中心とした18世紀から19世紀にかけてのイギリス美学史研究を集中的に行い、2009年10月の美学会全国大会(於東京大学)にてその成果を口頭発表した。また、その後に上記の発表を論文として加筆修正し、同学会誌『美學』に投稿、受理された(2010年3月)。 また、年度の後半には、ミシェル・ドゥギーらによる20世紀末フランスの『崇高論』読解の研究に本格的に着手し、この成果を2009年11月の表象文化論学会研究発表集会(於東京大学)にて口頭発表した。なお、その後これに加筆修正したものをフランス語でまとめ、2010年3月の国際ワークショップ「フランス現代思想の地平」(於東京大学、主催:グローバルCOEプログラム「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)、使用言語:フランス語)において、その成果を発表した。 それ以外の主な成果としては、上記に挙げた問題と主題的に関連するロバート・ローゼンブラム、大杉栄らにおける「崇高」概念の研究成果を、それぞれ日本アメリカ文学会関東支部例会(於慶應義塾大学、2010年1月)、および日本思想研究会(於東京大学、2009年12月)にて口頭発表した。また、偽ロンギノス『崇高論』の内在的研究において極めて重要な位置を占めるアリストテレスらの「パンタシアー」概念についての発表を、2010年3月のワークショップ「ファンタジーの反射=反省(リフレクション)」(於東京大学、主催:グローバルCOEプログラム「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」)において行った。 さらに、自身の研究にとって重要な先行文献である宮崎裕助『判断と崇高』(知泉書館、2009年)の書評論文を執筆し、表象文化論学会の学会誌『表象』の第4号(2010年3月)に掲載された。
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