2010 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池用炭素担持Ptカソード触媒のシリカ被覆による高活性化および高耐久性化
Project/Area Number |
09J02463
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松森 裕史 九州大学, 大学院・工学府物質プロセス工学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / Ptカソード触媒 / シリカ被覆触媒 / 耐久性向上 / 酸素還元活性 / 酸素還元反応作用機構 |
Research Abstract |
本年度は高活性・高耐久性のシリカ被覆炭素担持Pt触媒の開発指針を提案するために,シリカ被覆炭素担持Pt触媒の耐久性向上因子及び作用機構の解明行った. 1.耐久性向上因子の解明 異なる物理的・化学的性質を有するシリカ層にて炭素担持Pt触媒を被覆し,電極活性,耐久性を評価した.その結果,炭素担持Pt触媒を被覆するシリカ層が厚く,細孔構造が少ない場合電極活性は低下するものの,これらのシリカ層での被覆によりPt触媒の耐久性は著しく改善した.これらの結果から耐久性試験中にシリカ層がPt種の試料外部への溶出を物理的に抑制することで,シリカ被覆炭素担持Pt触媒は高い耐久性を示したと結論した. 2.発電機構の解明 シリカ被覆炭素担持Pt触媒はPEFCカソード触媒としての利用を想定している.そこでシリカ被覆炭素担持Pt触媒の作用機構を明らかにするために,酸素還元反応中のPt粒子表面への電子,酸素,プロトンの供給について検討した.その結果,シリカで被覆されていない炭素担体が電子伝導パスとして作用することでPt上へ電子が供給されることが分かった.さらにプロトンはシリカ細孔を通じてPt上に供給されるが,シリカで被覆してもプロトンの移動速度は低下しないことが分かった.また酸素もシリカ細孔を通じてPt上に供給されるが,シリカ層中の酸素の拡散速度が酸素還元反応の速度に影響した.より高活性なシリカ被覆炭素担持Pt触媒を設計するには,シリカ細孔中の酸素の拡散速度を向上させる必要があると結論した.以上の結果よりPt種の溶出を物理的に抑制でき,シリカ細孔中を十分酸素が拡散可能であるシリカ層にて炭素担持Pt触媒を被覆すれば高活性・高耐久性のシリカ被覆炭素担持Pt触媒を開発できると考えられる.
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Research Products
(1 results)