2009 Fiscal Year Annual Research Report
不斉炭素―炭素結合形成反応を指向した高活性、高選択的触媒の開発
Project/Area Number |
09J02469
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川村 健二郎 Kobe University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シッフ塩基配位子 / ジアルキル亜鉛 / 不斉1,4-付加反応 / 環状エノン |
Research Abstract |
光学活性な有機金属触媒を用いた不斉炭素-炭素結合形成反応は、不斉炭素中心と炭素骨格を同時に形成可能であり、有機合成において非常に有用な手段である。これまでに数多くの不斉合成反応とその触媒が報告されているが、化合物特異的である点は解決すべき課題である。今回私は不斉合成反応をより汎用性の高い手段にするために、合成容易で超効率的な不斉分子触媒の開発を目指し、不斉源として入手しやすいアミノ酸誘導体を用い、光学活性なN,N,P型シッフ塩基配位子を創製した。私が開発した光学活性シッフ塩基配位子を用いて、多様な不斉炭素-炭素結合形成反応の開発を目指す。これまでに、配位子を自由にデザイン・設計できる強みを活かし有機金属反応剤のα,β不飽和カルボニル化合物への不斉1,4-付加反応を検討し良好な成果を上げてきたため、今回その反応中間体である金属エノラートの求電子剤による補足反応の開発に取り組んだ。具体的には、亜鉛エノラート中間体のアリル化反応に取り組んだ。従来の報告例ではパラジウムが必要であるとされていたが、今回反応条件を検討した結果、求電子剤としてヨウ化アリルまたはヨウ化メタリル5当量を室温で48時間作用させることで、パラジウムを用いずとも亜鉛エノラートの捕捉が可能になることを見出した。さらに従来法に比べて高いtrans:cis比の制御に成功し、主生成物であるtrans体の不斉収率も良好な結果を与えた。特に基質に六員環エノンを用いた場合には、いずれのジアルキル亜鉛、求電子剤の組み合わせにおいても99%eeまで到達した。ワンポットの反応で一度に二箇所の不斉点を高度に制御可能な反応系の開発に成功したといえる。現在、これらの結果をもとに学術論文を作成中である。
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Research Products
(3 results)