2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会の寛容性が個体の行動に与える影響-ニホンザル3集団の比較研究-
Project/Area Number |
09J02505
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 一憲 Kyoto University, 野生動物研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニホンザル / 地域間変異 / 攻撃行動 / 寛容性 |
Research Abstract |
ニホンザルの野外集団の中には、寛容性の高い集団と、寛容性の低い集団があることが知られている。寛容性の異なる集団で暮らすことが、個体の行動に影響を与えるかどうかを検討することが、本研究課題の目的である。本年度は、勝山ニホンザル集団(岡山県真庭市に143頭生息)と淡路島ニホンザル集団(兵庫県洲本市に220頭生息)を対象とした野外調査を行い、これらの集団を対象に集団の寛容性の違いを評定するための「給餌実験」を行った。「給餌実験」とは、それぞれの集団の餌場に描いた直径8mの円内に広く小麦をまき、その円の中で小麦を拾って食べたサルの頭数とその際に生じた争いに関連した音声の数をカウントする実験のことである。この2集団は、30年前に行われた同様の給餌実験によって、寛容性が大きく異なることが指摘されている(Koyama et al.1981)。ニホンザルの寿命は約20年であるため、それぞれの集団のメンバーは30年前と全て入れ替わっている。結果の詳細は現在解析中であるが、これら2集団の間には寛容性に関して大きな違いがみられることが明らかになりつつある。これらの結果は、ニホンザルの寛容性に見られる集団間変異が、次の世代に引き継がれていることを示唆するものである。今後は、さらに実験を行ってデータ量を増やすこと、淡路島集団の個体識別を完成させて個体追跡法を用いた直接観察を行うこと、さらに3つめの集団を対象とした給餌実験を行うことを計画している。
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Research Products
(6 results)